男女の賃金格差

「少子化に影響する」という女性団体の脅しがきいて、やがて「六歳まで父母のどちらかの深夜業は免除」という規定ができた。しかし、六歳をすぎても子どもが一人では暮らせるわけではない。このことが女性の派遣会社への移籍を一段と促していた。成子が疑問を持ちながらも「基幹社員」にしがみついているのは、「人開コース」だと仕事はそれなりに厳しいのに、時給ベースで基幹社員の半分から三分の一程度に落ち込んでしまうからだ。入社と同時に「基幹社員こそが会社を背負って立つエリートだ」と吹き込まれた。「非正社員」の使い捨てで人件費を安くあげた結果、「基幹社員」には定年までの仕事が保障され、退職金も法外だ。その既得権益をまもるため、このコースの人員は一定に限られ、繁忙期にも外部からの助っ人はあおげない。だから長時間労働になる。建前では有給休暇は保障されており、休めば賃金がカットされる非正社員たちより有利だが、現実には休暇はほとんどとれない。就業時間後のノミニケーションにもつきあわないと「基幹なのにつきあいが悪い」と陰口をきかれる。産休や育休などとんでもない。それでも、他のコースとの賃金格差や「尊敬度」の違いを考えると、簡単には手放せない。「退職金までこぎつければいいけど、病気でやめる人も多いから」と成子は思う。成子自身も最近、残業続きのストレスで生理がとまったり、疲れて口をきくのも嫌な日が続いている。

参考:

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